乳酸菌ブームのきっかけ!発酵食品で菌活・腸活
身近な発酵食品
この冬、甘酒が大ヒット。いまや生産が追いつかないほど売れ行き好調で、醸造メーカーはうれしい悲鳴をあげているとか。
では、ほかにどんな発酵食品があるのか、ざっとあげてみましょう。
- 漬け物(キムチやピクルスも!)
- みそ
- しょうゆ
- 納豆
- かつお節
- 塩辛
- アンチョビ
- 酢
- みりん
- 日本酒
- ワイン
- ビール
- ウイスキー
- 紅茶
- ウーロン茶
- ヨーグルト
- チーズ
- パンetc
発酵食品の元祖は酒だった!?
発酵食品は、菌(微生物)のはたらきで、原料となる食材に糖分(甘み)やアミノ酸(うま味)が新たに生じたもの。
元祖発酵食品のビールやワインも、自然発酵したものを飲んだのがそもそものはじまりだった、というのが通説です。もちろん、わが日本列島でも旧石器時代から酒が飲まれていたと考えられ、その後の縄文時代の遺跡からはヤマブドウやアケビなどの果実酒の痕跡が見つかっています。
たき火を囲み、飲んで歌って踊って……。満天に輝く星空のもとで、そんなひとときがあったのかもしれません。
閑話休題。
穀物や果物があるところでは酒が生まれ、酒があると、酢酸菌のはたらきで酢ができます。
日本人がいちばん好きな食べものランキングの第1位、それはにぎり寿司だとか。日本酒を飲みながら、酢〆のにぎり寿司を食べる。これに漬け物があれば、発酵食品づくしの食事。ものすごく健康によさそうですね!
玄米+漬け物+みそ汁+魚が理想的
いまから40年ほど前、アメリカの上院栄養問題特別委員会で、世界各国の食事と病気について調査した「マクガバンレポート」が発表されました。このレポートでは、日本人が元禄時代(1688-1704年)以前に食べていた食事が理想的だと報告。これが、現在の日本食ブームの“芽”になったといわれています。
元禄時代以前の庶民の食事は玄米、漬け物、みそ汁、魚が定番。農村部でも、ウグイのような川魚をけっこう食べていたようで、飛騨地方の食生活を記録した『斐太後風土記』からも、鳥獣類や魚介をとっていた様子がうかがえます。でも、血となり肉となり、ホルモンや酵素にもなるタンパク質の多くは、古くから栽培されてきた大豆に依存していたようです。
その大豆は、煮ても、蒸しても、炒っても美味。そして真打ちは、やっぱり発酵させた納豆やみそ。
ところが、いま、私たちの食生活は大きく変化。漬け物やみそ汁を食べる回数が減り、かわりに、肉や乳製品、コロッケやフライのような油を使った惣菜(そうざい)が増えました。こうした食習慣が影響して、肥満、糖尿病、脂質異常症、大腸がんなどの生活習慣病が大問題となっています。
漬け物の乳酸菌に注目!!
和食は、みそ、しょうゆ、かつお節、納豆、漬け物などの発酵食品があったからこそ進化をとげました。
このうち、みそ、しょうゆ、カツオ節は麹菌(こうじきん=コウジカビ)、納豆は納豆菌、漬け物は乳酸菌がかかわっています。
乳酸菌と聞けば、いまは誰もが「腸内細菌を増やして、腸内環境を整える」と答えられるほどの著名菌。
ところが、漬け物の乳酸菌と、ヨーグルトの乳酸菌は性質がちがい、胃酸に対する忍耐力は、植物に由来する漬け物の乳酸菌のほうが上。つまり、ヨーグルトより漬け物のほうが、腸内環境にはプラス効果が期待できるというワケです。
いま、日本では大腸がんの患者数が激増。50年間で9倍も増加しました。その一因が、昔ながらの乳酸発酵による漬け物を食べなくなったからだという話もあります。
漬け物は野菜が原料。野菜には食物繊維がたっぷり。この食物繊維にも腸内環境を整えるはたらきがあります。いうなれば漬け物は、乳酸菌+食物繊維のダブルパワーをもつスーパーフードなのです。
でも、
「うちはスーパーで漬け物買って食べているわよ」
と、おっしゃる方は、ご用心を。
袋詰めの市販の漬け物は、発酵させずに調味液につけただけのものが目立ちます。乳酸菌をしっかりとりたいのなら、ぬか漬けやかす漬けなどを! それでも足りないと感じるときは、乳酸菌のサプリメントを活用する。「食品からでは足りない」というのが、わたしの周囲にいる乳酸菌の研究者たちの常識です。